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頻尿

頻尿の定義

頻尿とは、「尿の回数が多くて困る」というご本人の自覚的な症状を指します。客観的な目安として、日中の排尿回数が8回以上の場合を頻尿とすることが多いですが、これはあくまで目安です。水分を多く摂れば尿の回数は増えますし、1日の排尿回数には個人差があります。そのため、8回以下でもご自身で「回数が多い」と感じていれば、それは頻尿と言えます。

夜間頻尿と日中頻尿について

頻尿は、症状が現れる時間帯によって大きく2つに分けられます。

日中頻尿

朝起きてから夜眠るまでの間に、排尿回数が多い状態です。仕事や外出、日常生活に支障をきたすことがあります。

夜間頻尿

夜、排尿のために1回以上起きなければならない状態を指します。特に、2回以上起きるようになると、睡眠が妨げられて日中の眠気や倦怠感につながり、生活の質(QOL)を著しく低下させることがあります。

日中と夜間の両方に頻尿の症状があるのか、あるいは夜間だけなのかによって、考えられる原因や治療法が異なるため、この区別は非常に重要です。

年齢と夜間頻尿の関係(年を重ねると夜間頻尿がふえる)

年齢を重ねると夜間頻尿が増える傾向にあり、これは多くの方が経験する自然な変化の一面でもあります。主な理由は以下の通りです。

抗利尿ホルモンの分泌リズムの変化

若い頃は、夜間に「抗利尿ホルモン」が多く分泌され、腎臓で作られる尿の量が自然と少なくなります。しかし、加齢とともにこのホルモンの夜間分泌量が減少し、昼間と同じように尿が作られてしまうため、夜間の尿量が増加(夜間多尿)します。

膀胱の弾力性の低下

年を重ねると、膀胱の筋肉が硬くなり、弾力性が失われていきます。これにより、尿を溜められる量(膀胱容量)が少なくなり、少量でも尿意を感じやすくなります。

心機能・血管系の変化

加齢や高血圧などにより心機能が低下すると、日中に重力で下半身に溜まっていた水分が、横になる(就寝する)ことで心臓に戻り、腎臓でろ過されて夜間の尿量が増える原因になります。

睡眠障害

加齢により眠りが浅くなると、些細な尿意でも目が覚めてしまい、「トイレに行きたくて起きた」のか「目が覚めたからトイレに行く」のかが曖昧になり、結果的に夜間頻尿につながることがあります。

頻尿のときに考えられる疾患

頻尿は様々な病気のサインである可能性があります。自己判断せず、背景に病気が隠れていないか確認することが大切です。

男女共通で考えられる疾患

過活動膀胱(OAB)

急に強い尿意を感じ、我慢できずにトイレに駆け込む症状が特徴。膀胱が過敏になっている状態。

膀胱炎・尿道炎

細菌感染による炎症で膀胱が刺激され、頻尿や排尿時痛、残尿感が起こる。

間質性膀胱炎

原因不明の膀胱の非細菌性炎症。尿が溜まると膀胱に痛みを感じる。

糖尿病

血糖値が高いと、尿中に糖が排出される際に水分も一緒に排出されるため尿量が増加(多尿)し、頻尿になる。

高血圧、心不全、腎機能障害

体内の水分バランスが崩れ、尿量が増えることがある。

睡眠時無呼吸症候群

無呼吸状態から回復する際に、胸腔内の圧力が変化し、尿量を増やすホルモンが分泌されるため夜間頻尿の原因となる。

心因性頻尿

トイレのことが気になってしまう不安やストレスが原因。

男性特有の疾患

前立腺肥大症

前立腺が肥大して尿道を圧迫するため、尿の出が悪くなる(排出障害)と同時に、膀胱が刺激されて頻尿になる。

女性特有の疾患

骨盤臓器脱

子宮などが下がり、膀胱や尿道を圧迫することで頻尿や尿漏れが起こる。

女性ホルモンの低下

閉経後などに女性ホルモンが減少すると、膀胱や尿道の粘膜が萎縮し、知覚が過敏になって頻尿につながることがある。

頻尿の治療目標

頻尿治療の最終的な目標は、「頻尿による苦痛を和らげ、生活の質(QOL)を改善すること」です。単に排尿回数を減らすだけでなく、以下のような状態を目指します。

  • 夜、ぐっすり眠れるようになる(特に夜間頻尿の場合)。
  • 外出や乗り物での移動、会議中などのトイレの不安がなくなる。
  • 急な尿意に振り回されず、安心して日常生活を送れる。
  • 頻尿の原因となっている基礎疾患を適切に管理・治療する。

治療の実際

治療は、原因や症状の程度に応じていくつかの方法を組み合わせて行います。

行動療法

  • 水分摂取の管理:一度に大量に飲まず、こまめに飲む。就寝前の水分や、利尿作用のあるカフェイン(コーヒー、緑茶など)やアルコールの摂取を控える。
  • 膀胱訓練:少しずつトイレを我慢する時間を延ばし、膀胱に溜められる尿量を増やしていく訓練。
  • 骨盤底筋体操:尿道を締める筋肉を鍛えることで、尿意のコントロールを改善し、尿漏れを防ぐ。

薬物療法

  • 過活動膀胱治療薬(抗コリン薬、β3作動薬など):膀胱の異常な収縮を抑え、尿意を切迫感を和らげる。
  • 前立腺肥大症治療薬(α1遮断薬、5α還元酵素阻害薬など):尿道の圧迫を緩めて尿を出しやすくする。
  • 抗生物質:膀胱炎などの細菌感染が原因の場合に使用。
  • 夜間多尿に対する薬(デスモプレシン):夜間の尿量を減らすホルモンを補う。
  • 漢方薬:体質に応じて、牛車腎気丸や八味地黄丸などが用いられることがある。

基礎疾患の治療

糖尿病、高血圧、心不全、睡眠時無呼吸症候群など、頻尿の原因となっている病気の治療を優先して行います。

頻尿になったらどうする?

「トイレが近いだけ」と軽く考えず、生活に支障を感じ始めたら、一度医療機関に相談することが大切です。

まずはかかりつけへ

夜間に2回以上トイレに起きる、急に強い尿意を感じて困る、排尿時に痛みがある、血が混じるといった症状があれば、早めに受診しましょう。

排尿日誌(排尿記録)をつける

受診する前に、2~3日間でよいので「排尿日誌」をつけることをお勧めします。これは、「いつ(時刻)」「どれくらいの量(多・中・少など)」「どんな状況で(尿意の強さ、尿漏れの有無など)」を記録するものです。水分をどれだけ摂ったかも記録すると、より診断の助けになります。この記録は、医師が頻尿の原因を正確に診断し、適切な治療方針を立てるための非常に重要な情報となります。

生活習慣を見直す

受診と並行して、上記の「治療の実際」で挙げたような、水分摂取の方法や食生活の見直しを始めてみるのも良いでしょう。

頻尿は適切な診断と治療によって改善できる症状です。一人で悩まず、まずは医療機関にそうだんして快適な毎日を取り戻しましょう。
当院ではエコーや尿検査を用いて精査を行い、診断・治療を行っていきます。何かわからないことがあれば是非ご相談ください。

この記事の執筆者

三鷹あまの内科・腎クリニック
院長 天野博明

経歴

  • 2011年3月 埼玉医科大学医学部医学科卒業
  • 2011年4月 埼玉医科大学国際医療センター 初期臨床研修
  • 2013年4月 埼玉医科大学病院腎臓内科 助教
  • 2024年8月 埼玉医科大学病院腎臓内科 講師 
  • 2026年4月 三鷹あまの内科・腎クリニック開業

資格

  • 医学博士
  • 日本内科学会総合内科専門医・指導医
  • 日本腎臓学会専門医・指導医
  • 日本透析医学会専門医・指導医
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