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透析にならない腎臓づくりをめざして

~腎臓病の不安、いっしょに話し合いませんか?~

 

健康診断で「腎臓の数値が少し悪いですね」と指摘されたとき、あるいは別の病院で「腎機能が落ちています」と言われたとき、多くの方が真っ先に頭に思い浮かべるのは「人工透析」という言葉ではないでしょうか。
「このまま悪くなったら、いつか透析になってしまうのだろうか」
「食事も厳しく制限されて、これまでの生活が送れなくなってしまうのか」
そんな不安を抱えながら、インターネットで情報を調べ、さらに怖い思いをしてこのページにたどり着いた方もいらっしゃるかもしれません。

でも、どうか一人で抱え込まないでください。
腎臓病の治療は、決して「ただ悪くなるのを待つだけ」のものではありません。現代の医療では、早期に正しい診断を下し、患者さんお一人おひとりに合わせた適切な治療と生活の工夫を組み合わせることで、腎機能の低下を緩やかにし、透析を回避したり、その時期を大幅に遅らせたりすることが十分に可能になっています。

当院、三鷹あまの内科・腎クリニックでは、「透析にさせない腎臓づくり」を最も大切な目標として掲げています。
あなたの現在の腎臓の状態を正しく知り、これからどう守っていくべきか。その不安を安心に変えるために、私たちと一緒に話し合い、歩んでいきましょう。

1. まずは何の腎疾患なのか、原因(原疾患)をつきとめよう

腎臓の機能が低下していると言っても、その背景にある原因は人それぞれ全く異なります。まずは「なぜ、あなたの腎臓は弱ってしまっているのか」という根本的な原因、つまり「原疾患(げんしっかん)」を突き止めることがすべての治療の第一歩です。

腎臓病には必ず「原疾患」があります

腎機能低下を引き起こす原因は多岐にわたります。当院では、まず詳細な採血や尿検査を行い、この原疾患の絞り込みを丁寧に行います。尿にタンパクや潜血がどの程度出ているか、血液中の特定の数値に異常はないかなど、さまざまなデータをパズルのように組み合わせて原因を探ります。
もし、検査の結果からさらに詳しい細胞レベルでの確認が必要だと判断した場合は、高度医療機関へ「腎生検(じんせいけん:腎臓の組織を一部採取して調べる検査)」を依頼し、連携して確定診断へと導くこともあります。

明確な診断がついた場合は、その疾患に最も適した専門的な治療を開始します。当院で対応可能な、糖尿病性腎症や腎硬化症、そして状態が安定している慢性糸球体腎炎などは、引き続き当院でしっかりと経過を診ていきます。

透析導入の原因となる主な疾患

透析導入の原因となる主な疾患

1. 糖尿病(糖尿病性腎症):長年の高血糖が腎臓の血管を傷つけることで発症します。
2. 慢性糸球体腎炎:腎臓のフィルター(糸球体)に慢性的な炎症が起こる病気で、IgA腎症などが代表的です。
3. 腎硬化症:主に高血圧や加齢によって腎臓の血管が動脈硬化を起こし、機能が落ちる病気です。

この中でも特に「慢性糸球体腎炎」は、早期に原疾患を正確に診断し、免疫を抑える治療など適切な介入を行うことで、将来の透析リスクを落とすことができる疾患です。「ただの尿蛋白・尿潜血だろう」と放置せず、早めに原因を調べることがあなたの未来の腎臓を救うことに直結します。

2. あらゆる腎疾患は、最終的に「CKD(慢性腎臓病)」に帰結する

原疾患が何であれ、腎臓がダメージを受け続けると、腎臓の内部では「虚血(血流が不足して酸素や栄養が足りない状態)」や「炎症」といった慢性的なストレスが常に起こっている状態になります。

腎臓は、一度壊れてしまうと再生することが非常に難しい臓器です。この慢性的なストレスにさらされ続けると、血液をろ過して尿を作る「ネフロン」という腎臓の細胞の数が徐々に減少していきます。細胞が減れば減るほど、残された細胞が無理をして働くことになり、長期的になればなるほど腎臓全体は硬く萎縮(いしゅく)していってしまいます。

実は、このプロセスは腎炎でも、糖尿病でも、高血圧による虚血(腎硬化症)でも、あるいは薬剤によるダメージでも同じです。スタート地点(原疾患)は違っても、長期間ダメージが蓄積して慢性化してしまうと、最終的にはどれも「CKD(慢性腎臓病)」という共通の状態に行き着きます。

もちろん、原疾患に対する特異的な治療(例えば糖尿病なら血糖コントロール、腎炎なら炎症を抑える治療)は並行して行いますが、一度CKDという状態になってしまえば、それ以降はどの病気であっても「いかに残された腎臓の細胞を守り、負担を減らすか」という共通の治療(腎保護治療)が必要になってくるのです。

3. eGFR slope(腎機能低下の傾き)をいかにゆるやかにするか

~自分の腎機能で生涯を全うする!~

腎臓の働きを示す指標として「eGFR(推算糸球体濾過量)」という数値があります。大まかに言えば「あなたの腎臓が今、100点満点中何点くらいの力で働いているか」を示すものです。(※透析治療が必要になるのは、このeGFRが「6〜7」くらいまで低下したタイミングが多いです。)

腎臓の働きを示す指標として「eGFR(推算糸球体濾過量)」という数値があります。大まかに言えば「あなたの腎臓が今、100点満点中何点くらいの力で働いているか」を示すものです。(※透析治療が必要になるのは、このeGFRが「6〜7」くらいまで低下したタイミングが多いです。)

「低下のスピード」を知ることが運命の分かれ道

私たちが最も重視するのは、今のeGFRの数値そのものよりも、「1年間でどれくらいのスピードでeGFRが低下しているか(eGFR slope)」という傾きの角度です。

  • 年間の低下が「2〜3」の場合:「少し進行のスピードが速いですね。生活を見直しましょう」とお伝えします。
  • 年間の低下が「4以上」の場合「かなり早いスピードで進行しています。早急な対策が必要です」と危機感を持ってお伝えします。

実は、年間「4以上」のスピードで腎機能が低下している方は、ただ透析に近づくだけでなく、心筋梗塞や脳卒中などの「心血管疾患」の発症率や死亡率が約1.5倍も跳ね上がることがわかっています。低下速度が早ければ早いほど、全身の血管や臓器にも悪影響を及ぼすのです。

未来を予測し、軌道修正を行うのが腎臓内科の使命

過去のデータから、あなたのeGFRの低下スピードを計算することで、「もしこのままのスピードで悪化した場合、あと何年で透析が必要な数値(eGFR 6〜7)に到達してしまうのか」を逆算して予測することができます。

また、腎機能の低下スピードは条件によって大きく異なります。
例えば、同じ60歳でも「eGFRが60ある方」と「eGFRが45まで落ちている方」では、45の方のほうがその後の低下スピードが速まりやすい傾向にあります。特に、発見時のeGFRが50未満の患者さんは、60以上の方と比べて低下速度が2倍近く速いというデータもあります。
さらに、糖尿病が原因の場合は一定のスピードでゆっくり落ちる(直線的な低下)のではなく、ある時期を境に「後半になって急激に加速して悪くなる」という怖い特徴を持っています。だからこそ、油断は禁物なのです。

私たち腎臓内科医の最大の命題は、この「腎機能低下の傾き(eGFR slope)を、いかに平坦に近いゆるやかなものに抑え込むか」ということです。
今の進行スピードを計算し、予測される未来を変える。急な下り坂を、ゆるやかな坂道に変える。それができれば、「自分の生まれ持った腎臓の機能のままで、生涯を全うする」ことは決して夢物語ではないのです。

4. 患者さんお一人おひとりに寄り添う、オーダーメイドの治療を

腎臓の傾きをゆるやかにするためには、「ただ腎臓の薬を飲むだけ」ではうまくいきません。当院では、患者さんのライフスタイルや全身の状態を総合的に判断し、以下の4つの柱でオーダーメイドの治療計画をご提案します。

①合併症の徹底的な管理

人間の体はすべて繋がっています。心不全、肝臓の機能低下、高血圧、糖尿病、脂質異常症(コレステロールなど)、高尿酸血症、貧血……。これら臓器障害や代謝異常は、すべて腎臓の働きに密接に関わっています。
腎臓が悪い方には、ただ数値を正常にすればいいわけではなく「腎不全の患者さんにとって最も安全で適正な目標値」というものが存在します。私たちはその最適な目標値に向かって、全身のバランスを見ながら緻密なコントロールを行います。

②「足し算」だけでなく「引き算」のお薬調整

腎不全や心不全といった慢性疾患は、長く付き合っていく病気であるため、どうしても状態の変化や進行にともなってお薬の数が増えてしまう傾向があります。「またお薬が増えてしまった…」と負担に感じたり、落ち込んでしまったりする患者さんも少なくありません。
もちろん、病状をしっかりとコントロールして腎臓を守るために必要な「足し算」の治療は欠かせません。しかし当院では、ただ薬を増やすだけでなく、患者さんの日々の負担をできる限り軽くするための「引き算」の調整も非常に大切にしています。
具体的には、以下のような視点でお薬の整理・見直しを行います。

  • お薬をまとめる:複数の成分が一つになった「配合剤(合剤)」を積極的に活用し、飲む錠数そのものを減らします。
  • 重複を見直す:似たような効果を持つお薬が重なって処方されていないかを確認し、不要なものは割愛します。
  • 注射薬への切り替え提案:毎日たくさんのお薬を飲むのが負担になっている方には、週に1回から月に数回などの「注射薬」をご提案することもあります。例えば、腎臓を守る効果が期待できる糖尿病の注射薬や、腎不全による貧血(腎性貧血)の注射薬などです。これらを上手く取り入れることで、毎日の飲み薬の数を大幅に減らせるケースも少なくありません。
  • 状態に合わせた減量:定期的な検査で病勢が安定していることが確認できれば、お薬の量を少し減らせないか慎重に検討します。
  • 自己管理の成果を反映:後述する栄養指導などを通じて、食事や運動といったご自身の自己管理が改善してくれば、それがお薬を減らす最大のチャンスとなります。

また、腎機能が落ちてくるとお薬の成分が体に蓄積しやすくなり、一般的な量でも効きすぎて副作用が出やすくなるという特徴もあります。そのため、鎮痛剤など「腎臓を直接傷つけてしまう薬(腎毒性)」が隠れていないか、今の腎臓の働きに対してお薬の量が多すぎないかといった、専門的な視点からの調整も同時に行います。
お薬を減らすことは、副作用のリスクを下げるだけでなく、毎日の飲む負担や医療費を軽くすることにもつながります。決して無理はせず、患者さんご自身の体調やご希望も伺いながら、最適なバランスを一緒に見つけていきましょう。

③薬の効果を最大限に引き出す「栄養指導」

「たくさん薬を飲んでいるから、食事は適当でも大丈夫だろう」というお考えは、大変危険です。
例えば、血圧が高いからといって血圧を下げる薬をどんどん増やしても、ご自宅での塩分制限(食事管理)が全くできていなければ、薬の効果よりも副作用のリスクばかりが大きくなり、結果的に腎機能の悪化を早めてしまうことがわかっています。
お薬はあくまで「最小限」にとどめるのが私たちの理想です。そして、その最小限の薬で目標を達成するためには、プロによる栄養指導に基づいた「正しい生活習慣の形成」が絶対に欠かせません。当院では、無理なく続けられる食事の工夫を一緒に考えていきます。

④長く続けるための「運動療法(腎臓リハビリテーション)」

「腎臓が悪いと安静にしていなければならない」というのは昔の常識です。今は、適切な運動が腎機能の維持に役立つことが証明されています。ただし、やり方にはコツがあります。

  • 絶対に「ゆっくり」やること:怪我をして動けなくなっては本末転倒です。
  • 最初から頑張りすぎない:いきなり強度の高い運動を始める必要はありません。最初は「1日3分」でも立派な運動です。
  • 目標は低く、長く続ける:運動の目標は「とにかく低め」に設定し、三日坊主にならないことを最優先にします。
  • 運動の内容:筋肉量を維持して代謝を良くする「レジスタンス運動(ご自身の体重を使った軽いスクワットや、かかと上げなど)」と、心肺機能を保つ「有酸素運動(息が上がらない程度の軽いウォーキングなど)」を中心に組み合わせていきます。

とにかくハードルを下げて、楽しみながら生活の一部として長く続けていきましょう。

最後に

腎臓病の治療は、私たち医療者と患者さんとの「二人三脚」です。 不安なこと、わからないこと、生活の中でどうしても守れない制限など、どんなことでも構いません。すべて私たちにお話しください。 あなたの腎臓を守り、あなたらしい生活を長く続けていくために。三鷹あまの内科・腎クリニックは、全力であなたをサポートいたします。まずは一度、お気軽にご相談にいらしてください。

そして、このページはこれで完成ではありません。 「こんなテーマについても詳しく解説してほしい」「食事のこんな時、どうすればいいか知りたい」など、皆さまが追加してほしいコンテンツを随時募集しております。お問い合わせフォームから、ぜひ皆さまの知りたいこと、リクエストをお寄せください。

お寄せいただいたご要望にお応えしながら、このページはどんどん内容を追加・修正し、皆さまと一緒に育てていくコンテンツにしていきたいと考えております。

 

 

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