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糖尿病

「糖尿病」に関して、多くの方は「血糖値が高いだけの病気」と思われているかもしれません。ところが、実際の糖尿病は急速な動脈硬化の進行をきたし、心臓病や腎臓病、失明など重い合併症につながる恐れのある病気です。怖い病気と思われるかもしれませんが、早期に発見し、きちんと治療や生活習慣の改善を行えば、健康的な生活を送ることができます。ここでは、糖尿病の基本的な情報をわかりやすくご紹介します。

糖尿病とは

糖尿病とは、血液中の血糖値が慢性的に高い状態が続く病気です。血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが不十分になることで、体がブドウ糖をうまく利用できなくなり、血糖が過剰にたまってしまいます。

糖尿病は大きく分けて以下の4種類があります

  • 1型糖尿病:自己免疫の異常などにより、膵臓からインスリンがほとんど出なくなる。インスリンが必須の糖尿病。
  • 2型糖尿病:インスリンの分泌量が減ったり、働きが弱くなったりする。生活習慣が深く関係する糖尿病。
  • 妊娠糖尿病:妊娠中に一時的に血糖値が高くなる状態。妊娠が終了すれば改善するが、将来的に糖尿病になるリスクが高い糖尿病。
  • その他の特定の原因による糖尿病:遺伝子異常や膵臓疾患などが原因となる糖尿病。(例:膵性糖尿病)

特に多いのが「2型糖尿病」で、日本人の糖尿病患者の約95%を占めています。以降は2型糖尿病を中心に説明させていただきます。

糖尿病の原因

糖尿病の発症には、生活習慣と遺伝的体質の両方が関係します。2型糖尿病の主な原因は以下の通りです。

  • 過食・肥満:特に内臓脂肪が多い「肥満型」は、インスリン抵抗性という状態になり、インスリンの効きが悪くなります。
  • 運動不足:筋肉を使わないと血糖が下がりにくくなります。
  • ストレス:ホルモンバランスの乱れが血糖に影響します。
  • 加齢:年齢とともにインスリンの働きが低下します。
  • 家族歴:親や兄弟に糖尿病の方がいると、発症リスクが高まります。

これらの要因が積み重なることで、血糖値が正常に保てなくなっていきます。

糖尿病の症状

糖尿病の初期には、ほとんど症状がありません。そのため、「健診で初めて指摘された」という方が多いのが特徴です。血糖値が高くなると次のような症状が現れることがあります:

  • のどが渇く
  • 水をたくさん飲む
  • 尿の量・回数が増える
  • 体重が減る(食事量が変わらないのに)
  • 疲れやすい・だるい
  • 手足がしびれる、傷が治りにくい

ただし、これらの症状が出た時点では、すでに進行している可能性があります。自覚症状がなくても、定期的に血糖値を確認することが大切です。

糖尿病の合併症

慢性合併症

糖尿病が怖いのは、血糖が高い状態が続くことによる合併症です。前述しましたが、糖尿病は急速に動脈硬化を進行させます。特に細い血管の障害が顕著であり、細い血管で構成される臓器が障害を受けます。特に注意すべきは「三大合併症」と呼ばれる、眼、腎臓、神経の障害です。

  1. 糖尿病網膜症:目の網膜の循環が障害され、眼球内で出血が起こります。進行すると失明の原因になります。罹患後10年後くらいから生じることが多いです。
  2. 糖尿病腎症:腎臓の機能が低下し、浮腫や尿毒症をきたすようになります。20-30年の経過で人工透析が必要になる場合もあります。
  3. 糖尿病神経障害:手足のしびれや痛み、感覚異常、自律神経障害が現れます。糖尿病罹患後5年ほどから生じることが多いです。

糖尿病の動脈硬化は細い血管だけでなく、中・大血管にも影響を及ぼし、脳卒中、心筋梗塞、狭心症といった命に関わる病気のリスクも高くなります。そのほか、歯周病、がん、認知症、骨折などのリスクも上昇するといわれています。

重症な急性合併症

糖尿病性ケトアシドーシス

1型糖尿病の急性発症時や、1型糖尿病の方がインスリン注射を中断した場合などに生じるインスリンの欠乏状態です。また、1型糖尿病だけでなく2型糖尿病であっても、糖質がおおい栄養ドリンクなどを多量に飲むことで発症する場合もあります。高血糖になることで、血液の浸透圧が上がり、尿量が増加し、喉が渇きやすくなります。そこで糖質を含むドリンクなど多量に飲んでしまうと、さらに高血糖をきたし悪循環が生じてしまいます。ペットボトル症候群といわれることもあります。著明な脱水とインスリン欠乏のため入院で集中治療が必要な状態になります。

高浸透圧性高血糖状態

主に2型糖尿病の患者さんに多く見られる、極度の高血糖とそれに伴う重度の脱水を特徴とする深刻な急性合併症です。この病態では、血糖値が異常に高くなる(しばしば600 mg/dLを超える)ため、血液の浸透圧が著しく上昇します。高血糖によって尿が大量に出る(多尿)ため、体内の水分が失われ、重度の脱水状態に陥ります。この脱水と高浸透圧の影響で、初期には口の渇きや倦怠感、さらに進行すると、錯乱や傾眠(眠気)といった精神状態の変化、ひどい場合には昏睡などの意識障害を引き起こします。糖尿病性ケトアシドーシスと異なり、ケトン体の増加(ケトーシス)は通常目立たないのが特徴です。感染症や水分摂取不足などが引き金となって発症しやすく、特に高齢者でリスクが高いとされています。治療は、入院で大量の輸液(点滴)による脱水と電解質異常の迅速な補正、およびインスリンの静脈内投与による血糖管理が中心となりますが、急激な血糖低下は危険なため、慎重なモニタリングが必要です。この状態は命に関わる重篤な病態であるため、早期発見と速やかな治療が不可欠です。

糖尿病の検査

糖尿病は以下のような検査が行われます。

  • 空腹時血糖値:食事を抜いた状態で測る血糖値。126mg/dL以上で要注意。
  • 随時血糖値:時間に関係なく測定した血糖値。200mg/dL以上が基準。
  • HbA1c(ヘモグロビンA1c):過去1~2か月の平均的な血糖値を反映。6.5%以上で糖尿病の可能性あり。
  • 75gブドウ糖負荷試験:ブドウ糖液を飲み、2時間後の血糖値を計測します。診断確定に用いられます。
  • 尿検査:尿糖・尿たんぱく・尿中アルブミンなどをチェック。

基本的には血糖値とHbA1cのチェック、蛋白尿のチェックを行っていきます。また、慢性合併症のモニタリングとして定期的な眼科受診をお勧めさせていただいております。かかりつけの眼科の先生と連携しながら診療をおこなっていきます。

糖尿病の治療法

糖尿病の治療は、血糖値を適切にコントロールして合併症を防ぐことが目的です。治療法は大きく3つに分かれます。

生活習慣の改善(食事・運動)

  • 食事療法:糖質・脂質を抑え、野菜やたんぱく質を適切に摂ることが基本です。食べる時間や量にも注意します。
  • 運動療法:ウォーキングや体操など、無理のない有酸素運動を継続することで、インスリンの効きがよくなります。

薬物療法

  • 内服薬:血糖値を下げる薬にはいくつか種類があり、体質や他の病気との兼ね合いで選択されます。
  • インスリン療法:1型糖尿病や重症の2型糖尿病ではインスリン注射が必要になることもあります。

定期的な通院と検査

  • 定期的に血糖、HbA1c、尿検査、合併症チェックを行うことで、病気の進行を防ぎます。

2型糖尿病の治療の大原則は食事と運動です。自己管理ができていないと薬ばかり増えてしまい、治療がうまくいかないことが多いです。

さいごに

糖尿病は一度発症すると完治は難しい疾患です。ですが、生活習慣の見直しを行い、粘り強く治療を継続することによって健康な状態を保ちながら日常生活を送ることができます。合併症の予防のためにも早期発見・早期治療がなにより大切です。ご自身やご家族の健康が気になる方は、お気軽に当院までご相談ください。

この記事の執筆者

三鷹あまの内科・腎クリニック
院長 天野博明

経歴

  • 2011年3月 埼玉医科大学医学部医学科卒業
  • 2011年4月 埼玉医科大学国際医療センター 初期臨床研修
  • 2013年4月 埼玉医科大学病院腎臓内科 助教
  • 2024年8月 埼玉医科大学病院腎臓内科 講師 
  • 2026年4月 三鷹あまの内科・腎クリニック開業

資格

  • 医学博士
  • 日本内科学会総合内科専門医・指導医
  • 日本腎臓学会専門医・指導医
  • 日本透析医学会専門医・指導医
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