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慢性腎臓病

そもそも腎臓ってどんなはたらきをしているの?

私たちの体には、左右に1つずつ、腎臓という臓器があります。腎臓は、ちょうどこぶしぐらいの大きさで、背中の肋骨の下あたりにあります。

腎臓の大きな役割は、血液をきれいにすることです。食べ物を食べたり、水を飲んだりすると、体の中ではさまざまな化学反応がおこります。その結果、いらなくなった物質(老廃物:ろうはいぶつ)が体にたまっていきます。

この老廃物をろ過して、尿(おしっこ)として体の外に出すのが腎臓の役目です。また、体の中の水分や塩分、カリウム、リンなどの電解質のバランスをとったり、血圧を調節したり、赤血球(せっけっきゅう)を作る手助けをしたりするなど、いろいろな働きもしています。

慢性腎臓病の定義

「慢性(まんせい)」という言葉は、「長い間つづく」という意味です。「慢性腎臓病」とは、腎臓のはたらきが少しずつ悪くなっていく病気のことをいいます。英語では「Chronic Kidney Disease(CKD)」と呼ばれていて、世界中でとても多くの人がかかっている病気です。日本においてはこれまで成人の8人に一人が慢性腎臓病といわれてきましたが、最近では高齢化もあり成人の5人に1人が慢性腎臓病といわれています。

慢性腎臓病は上の図のように蛋白尿の程度からA1からA3まで分類されており、腎機能(eGFR:イージーエフアール)の程度からG1からG5まで分類されております。緑から赤になるにつれて腎機能障害が進行するリスクが上昇するとされており、特に蛋白尿が多い患者さんは注意が必要です。

慢性腎臓病の原因

慢性腎臓病の原因は一つではありません。日本透析医学会の資料によると、透析になる腎疾患の原因として最も多いのが糖尿病、次に腎硬化症、3番目が慢性糸球体腎炎とされています。糖尿病はご存じの方も多いかもしれませんが、腎硬化症は高血圧による慢性的な腎障害と定義されています。慢性糸球体腎炎は腎臓に免疫学的な異常が起こり、蛋白尿血尿が生じ、徐々に腎機能障害が進行していく病気です。40年前は慢性糸球体腎炎が最も多く、腎硬化症が最も少なかったのですが、最近では腎硬化症が増え、実はこの中で増え続けているのが腎硬化症です。
ただ、どの疾患も始まりは異なるものの、徐々に腎機能が低下し腎臓の萎縮、尿量の低下など、最終的には同じ経過をたどり末期腎不全へと進展していきます。

慢性腎臓病の症状

慢性腎臓病は、初めのうちはほとんど症状がありません。そのため、自分では気づかないまま進んでしまうことが多いです。

しかし、病気が進んでくると、次のような症状が出ることがあります。

  • 体がむくむ(顔や足がはれる)
  • 疲れやすくなる
  • 食欲がなくなる
  • 吐き気(はきけ)がする
  • 息切れがする
  • 尿(おしっこ)の量が減る、または泡立つ

これらの症状が出るころには、腎臓の機能がかなり低下していることが多いです。

慢性腎臓病の合併症

一般的な腎機能障害に伴う尿量の減少、電解質異常などは腎臓が本来の役割を果たせなくなったことで起こってくる合併症ですが慢性腎臓病の合併症で最も気を付けなければならないのは心血管疾患のリスクが上昇することです。心不全、心筋梗塞、脳出血、脳梗塞などが腎臓病の無い方より3-5倍のリスクで発症するとされています。
また、貧血の管理、カルシウムリン代謝の管理など、腎臓が陰で体を支えていた機能が低下することで、貧血や骨ミネラル代謝異常など、がみられるようになります。

慢性腎臓病の検査

慢性腎臓病は、血液検査や尿検査(たとえば学校の健康診断)で見つかることがあります。特に大事なのは、「eGFR(推算糸球体ろ過量)」という値と、「尿たんぱく」です。
eGFRの値が60未満だと、腎臓の働きが落ちているかもしれません。また、尿たんぱくが出ていると、腎臓に異常がある可能性があります。もし学校の検査で「異常あり」と言われたら、すぐに病院で詳しく調べてもらいましょう。

慢性腎臓病の治療法

残念ながら、一度悪くなった腎臓は元に戻すことが難しいです。だからこそ、「早く見つけて、進行をおさえること」がとても大切です。早期に発見し、治療を行うことで進行を遅らせ、長く腎臓の機能を温存することができます。

治療では、次のようなことが行われます。

  • 原因となっている病気(糖尿病や高血圧など)をしっかり治す
  • 食事を見直す(塩分をへらす、たんぱく質をとりすぎない)
  • 適度な運動をする
  • 薬を飲んで、血圧や尿たんぱくをコントロールする

最終的に腎臓の機能がかなり低下してしまった場合は、「人工透析(じんこうとうせき)」や「腎臓移植(いしょく)」という治療が必要になることもあります。これは、腎臓が自分ではもう働けなくなってしまったときに、代わりの方法で命をつなぐための治療です。これを腎代替療法といいます。

慢性腎臓病は予防(よぼう)することができるの?

もちろん、慢性腎臓病は予防することができます!

以下のような生活を心がけましょう。

  • 塩分をとりすぎない(スナック菓子やラーメンなどに注意!)
  • バランスのとれた食事をする
  • 水分をしっかりとる
  • 適度な運動を続ける(毎日30分程度のウォーキングなど)
  • 体重をコントロールする(肥満にならないように)
  • 定期的な健康診断を受ける

特に、家族に腎臓の病気がある人や、糖尿病・高血圧の人は注意が必要です。

まとめ

慢性腎臓病は、基本的に無症状です。放っておくと気づいたときには手遅れということが多いです。でも、早く見つけて生活を見直せば、進行を抑制することができます。健康診断や人間ドックで異常を指摘された場合はすぐに相談してみましょう。

この記事の執筆者

三鷹あまの内科・腎クリニック
院長 天野博明

経歴

  • 2011年3月 埼玉医科大学医学部医学科卒業
  • 2011年4月 埼玉医科大学国際医療センター 初期臨床研修
  • 2013年4月 埼玉医科大学病院腎臓内科 助教
  • 2024年8月 埼玉医科大学病院腎臓内科 講師 
  • 2026年4月 三鷹あまの内科・腎クリニック開業

資格

  • 医学博士
  • 日本内科学会総合内科専門医・指導医
  • 日本腎臓学会専門医・指導医
  • 日本透析医学会専門医・指導医
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