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下痢

下痢は、多くの方が経験する身近な症状です。便が水っぽくなったり、トイレの回数が増えたりと、つらいものですが、体の悪いものを外に出そうとする大切な防御反応の場合もあります。

ここでは、下痢について正しく理解し、ご自身でできる対処法や病院を受診する目安を知っていただくために、分かりやすく解説します。

1. 下痢の種類について

下痢は、その続く期間によって大きく2種類に分けられます。

急性下痢(きゅうせいげり)

発症してから2週間以内で治まる下痢です。
原因の多くは、ウイルスや細菌による感染性胃腸炎(食中毒など)です。その他、暴飲暴食、冷たいものの摂りすぎ、ストレス、薬の副作用なども原因となります。
体の防御反応として、原因となるものを体外へ排出しようとして起こることが多いです。

慢性下痢(まんせいげり)

3週間以上続く下痢です。背景に何らかの病気が隠れている可能性があります。
代表的なものに、ストレスが関係する過敏性腸症候群(IBS)や、腸に炎症が起きる炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)、特定の食べ物が消化・吸収できない病気などがあります。継続する場合には、自己判断せずに医療機関を受診することが重要です。

2. 危険な下痢とそうでない下痢

ほとんどの下痢は数日で自然に良くなりますが、中には注意が必要な「危険な下痢」もあります。以下の症状が見られる場合は、早めに医療機関を受診してください。

こんな症状は要注意!すぐに病院へ

  • 激しい腹痛や、我慢できないほどの強いお腹の痛みがある
  • 便に血が混じっている(赤、黒、赤黒い便など)
  • 38℃以上の高熱が出ている
  • 嘔吐を繰り返し、水分が全く摂れない
  • 強い脱水症状がある(尿がほとんど出ない、口の中がカラカラに渇く、ぐったりしているなど)
  • 症状がどんどん悪化している
  • 高齢の方や小さなお子様、持病をお持ちの方で症状が強い場合

比較的、様子を見られる下痢

  • 腹痛がそれほどひどくない
  • 熱がない、または微熱程度
  • 食欲が少しあり、水分は摂れる
  • 血便などの危険なサインがない
  • 数日で症状が改善傾向にある

ただし、症状が長引く場合や、少しでも不安がある場合は、我慢せずに受診を検討しましょう。

3. 下痢のときに考えられる疾患について

下痢は様々な原因で起こります。ここでは代表的な疾患を挙げますが、ご自身で判断せず、正確な診断は医師に委ねましょう。

急な下痢の場合

感染性胃腸炎

ノロウイルスやロタウイルスなどの「ウイルス性」と、サルモネラ菌やカンピロバクターなどの「細菌性」があります。いわゆる食中毒もこれに含まれます。

暴飲暴食・消化不良

脂っこいものや刺激物、アルコールの摂りすぎで腸に負担がかかり、下痢になります。

ストレス

精神的なストレスにより自律神経が乱れ、腸の動きが活発になりすぎて下痢を引き起こすことがあります。

薬剤の副作用

抗生物質や痛み止めなど、薬の種類によっては副作用として下痢が起こることがあります。

長引く下痢の場合

過敏性腸症候群(IBS)

ストレスなどが原因で、腸に明らかな異常がないにもかかわらず、下痢や便秘を繰り返す病気です。

炎症性腸疾患

潰瘍性大腸炎やクローン病など、腸の粘膜に炎症や潰瘍ができる病気です。血便や腹痛、体重減少などを伴うことがあります。

乳糖不耐症

牛乳に含まれる「乳糖」を分解する酵素が少ないために、牛乳を飲むと下痢をしてしまう体質です。

大腸がん

まれですが、下痢と便秘を繰り返す、便が細くなる、血便などの症状が見られることがあります。

4. 下痢の治療について

下痢の治療は、原因と症状の重さに合わせて行われます。

水分補給(経口補水療法)

下痢の治療で最も大切なことです。失われた水分と電解質(塩分やカリウムなど)を補給します。薬局などで購入できる経口補水液が最も効果的です。スポーツドリンクは糖分が多いため、薄めるなどの工夫が必要です。

薬物療法

整腸剤

乳酸菌などで腸内環境のバランスを整え、お腹の調子を穏やかに改善します。

止痢薬(下痢止め)

腸の動きを無理に止める薬です。細菌やウイルスを体外に排出するのを妨げてしまうことがあるため、自己判断での使用には注意が必要です。特に感染性胃腸炎が疑われる場合は、使用しない方が良いことが多いです。医師の指示に従って使いましょう。

抗菌薬(抗生物質)

細菌性の感染が原因であると診断された場合にのみ使用します。ウイルスには効果がありません。

食事療法

症状が落ち着くまでは、胃腸に負担の少ない食事を心がけます。(詳しくは次の項目で解説します)

原因となっている病気の治療

慢性的な下痢の場合、その原因となっている病気(過敏性腸症候群や炎症性腸疾患など)の治療を専門的に行います。

5. 下痢になったらどうする?(ご自宅での対処法)

下痢の症状が出たときは、慌てずに以下のことを心がけてください。
まずは安静に体力を消耗しやすいため、無理をせず、ゆっくりと体を休めましょう。お腹を冷やさないように温かくするのも効果的です。

水分補給をこまめに

一番大切なことです。脱水を防ぐため、喉が渇く前に、一口ずつでも良いのでこまめに水分を摂りましょう。

おすすめの飲み物

経口補水液、麦茶、白湯など

避けた方が良い飲み物

冷たい飲み物、牛乳、コーヒー、アルコール、炭酸飲料

食事は消化の良いものから

症状がひどいときは無理に食べる必要はありません。食欲が出てきたら、消化の良いものから少しずつ始めましょう。

おすすめの食べ物

おかゆ、よく煮込んだうどん、すりおろしたりんご、スープ、豆腐、白身魚など

避けた方が良い食べ物

脂っこいもの(揚げ物、ラーメン)、香辛料などの刺激物、食物繊維の多いもの(ごぼう、きのこ類)、お菓子など

市販薬を使うときは

下痢止め(止痢薬)は、原因によっては症状を悪化させる可能性があります。特に、発熱や血便がある場合は自己判断で使用せず、薬剤師や医師に相談してください。
整腸剤(ビオフェルミンなど)は、腸内環境を整えるお薬なので、比較的安心して使えます。
つらい症状が続く、または「危険な下痢」のサインが見られる場合は、ためらわずに医療機関を受診してください。適切な診断と治療を受けることが、早期回復への一番の近道です。

この記事の執筆者

三鷹あまの内科・腎クリニック
院長 天野博明

経歴

  • 2011年3月 埼玉医科大学医学部医学科卒業
  • 2011年4月 埼玉医科大学国際医療センター 初期臨床研修
  • 2013年4月 埼玉医科大学病院腎臓内科 助教
  • 2024年8月 埼玉医科大学病院腎臓内科 講師 
  • 2026年4月 三鷹あまの内科・腎クリニック開業

資格

  • 医学博士
  • 日本内科学会総合内科専門医・指導医
  • 日本腎臓学会専門医・指導医
  • 日本透析医学会専門医・指導医
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